甲状腺エコーで異常を指摘され精密検査して橋本病(慢性甲状腺炎)と診断されました(前編)

一週間前に緑内障と診断された記事を書いたとおり、三年ぶりに人間ドックを受診したら想定外に要精密検査として2つの異常を指摘されました。本日もうひとつの精密検査の結果がでたので記事としてまとめていきます。

精密検査の結果がでるまでの一週間は気が気じゃなくて、甲状腺エコーで画像検索しては自分のエコー画像と比較して、素人ながらに病状を推測する日々が続きました。まぁ悪い方悪い方に考えてしまいがちでした。おかげで本当に胃が痛くなる思いで夜も眠りが超浅くストレスフルな毎日でした。正直言って唯一仕事をしてるときだけ病気を忘れられるって感じでした。

結論から先に書いておくと"現時点で"の診断結果は橋本病でした。橋本病ってなに?と調べてみたら慢性甲状腺炎ということらしいです。先生から検査データをもらってきたので病状経過の記録としてブログにまとめていきます。長くなるので前編後編に分けて書きます。

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人間ドックの結果

今回の結果を受けて、実は 2009 年の人間ドックの結果でも甲状腺に病変の疑いありという結果がでてたのを思い出した。ただそのときの結果は年に一回定期診断で経過観察を推奨するとだけ書かれていたので、その後の人間ドックを経過観察代わりにしてました。それ以降 2014 年まで一度も指摘されることはなく、甲状腺異常の指摘のことなどとうに忘れて今に至ります。

そして今年の人間ドック。腫瘍性病変の疑いありで要精密検査と血の気が引くような結果が帰ってきた。真っ先に気にしたのは腫瘍マーカーの値。一応各種数値は正常値なので、がんである可能性は低いはずだと思うようにした。

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甲状腺精密検査の流れ

甲状腺の腫瘍性病変って指摘されたら普通に甲状腺がんを思い浮かべるわけでして、こりゃ一大事だっ!と気が気でなくなり、急遽会社を休んで翌日すぐに精密検査を受けに行きました。病院選びについては後編で書きますが、初日の精密検査から検査結果の説明までの流れをまとめると、以下のような形で進みました。

1. 問診(検査当日)

当日の検査はまず問診。過去の人間ドックの結果を全て取ってあった(奥さんがまとめててくれた)ので、それを全部見せて説明。前述したとおり振り返ってみれば 2009 年に既に指摘されていたことも伝えた。電子カルテに情報を打ち込みながら問診が続いた。

2. 触診(検査当日)

問診後にさっそく触診。甲状腺を中心に入念な触診が始まった。とりあえず触診で解るようなしこりは見当たらないと説明を受けた。この時点では、しこりが見当たらないという説明を受けても不安感は消えなかった。

3. 甲状腺超音波検査(検査当日)

人間ドックでもやった甲状腺超音波検査結果を病院間で共有してくれれば良いのに思いつつ、音波検査室へ移動して同じようにエコー検査。人間ドックの時よりも入念なエコー検査だった。全くの無痛なのだけども、無言で検査が進むのでドキドキ感で不安が増すばかりだった。

4. 音波検査結果の説明(検査当日)

診察室へ移動。結果は即座に診察室に共有されており、再度影がある部分を中心に触診を受け、その後に先生から説明を受けた。?触診する限りしこりが見当たらないこと、?経験則的に画像を見る限り腫瘍じゃなくリンパに見えること、?人間ドックの腫瘍マーカーの値が正常値であること、???から橋本病が疑われると言われ、血液検査をして病気の特定をすることになった。

個人的には超不安だったので細胞診検査を受けなくても大丈夫か聞いたところ、今の段階ではまだ早いとのことで細胞診は受けさせてもらえなかった。

5. 血液検査(検査当日)

先生に聞いたところによると、甲状腺疾患は概ね血液検査で疾患が特定ができるらしい。ちなみに人間ドックの血液検査項目には甲状腺の病状を判断する検査項目はないから、改めて血液検査が必要なんだと教えていただいた。人間ドックって結構いい金額するんだから、血液検査も全項目網羅的に検査できないもんか?と疑問に思ったりする。

検査自体は、単に血液を採取するだけの検査なので注射でチクりと痛むだけで苦痛は特になかった。

6. 検査結果(一週間後)

検査結果を待っていた一週間は、本当に胃が痛くなるストレスフル毎日だった。検査結果報告の当日、全然眠れず朝 4:00 に目が覚めた。時間の経過がものすごく遅く感じたので普段見ない Fire TV を見たりして時間を潰した。

ようやく予約の 10:00 になり血液検査の結果報告を受けた。腫瘍の可能性は低く、先生の所見の予測通り橋本病との診断結果が下された。腫瘍と言われて手術をする覚悟もしていたので、心の重荷が一気に下りて気が楽になった瞬間だった。検査結果の詳細は後述する。

7. 細胞診検査(一週間後)

念のために 100% 腫瘍(癌)でないことを特定したいなら細胞診検査を行うしかないが、検査するか?と聞かれたので即答で検査を希望した。後で明細書を見たら細胞診検査自体は 2,600 円くらいだった。

検査方法だが、甲状腺エコーをとりながら首に注射針を刺し、甲状腺の病巣部に針が刺さっていることを確認しながら細胞を採取する。ちなみに麻酔はないので結構痛かった。首にできた毛嚢炎の摘出術の時の麻酔針も想像以上に深くまで針を刺されたけど、今回のも思ってたよりも首深くまで針が刺さってるのがわかった。目を閉じているので詳細は不明だが、細胞を採取するときにシュコシュコと空気を抜く音がして、このとき鈍痛があった。針を刺した痛みはそうでもないが、細胞を抜いた部分の鈍痛は丸 1 日くらい続いた。

8. 細胞診検査結果(二週間後)

一週間後にでるので聞きに行ったら記事追記予定。 ⇒検査結果が出た。二カ所から細胞を採取したが、いずれも危惧していたがん細胞は診検出とのことで腫瘍性病変ではないことが確定した。採取した細胞からは大量のリンパ球が認められるとの結果だった。細胞診検査からは橋本病と断定することは逆にできないようで、血液検査と総合して橋本病と断定された。

甲状腺疾患と検査のフローチャート

今回受けた甲状腺疾患の血液検査では、血液中の甲状腺ホルモン量測定しました。検査項目は下記に示す項目でした。

 正常値機能亢進症機能低下症
TSH(甲状腺刺激ホルモン) 0.3〜4.0μU/ml
FT3(フリートヨードサイロニン) 2.5〜4.3pg/ml
FT4(フリーサイロキシン) 1.0〜1.8ng/dl
TRAb(抗TSH受容体) 10%以下 バセドウ病で陽性 原発性甲状腺機能低下症で陽性
TgAb(抗サイログロブリン抗体) 0.3U/ml未満 バセドウ病で陽性 橋本病で陽性
TPOAb(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体) 0.3U/ml未満 バセドウ病で陽性 橋本病で陽性

検査結果報告書の裏にもよく似たスクリーニングのフローチャートの記載があったのですが、検査した項目と合っていなかったのでネットで調べていたところ、ちょうどマッチするスクリーニングのフローチャートが見つかりました。
(引用元:http://ogura-naika.com/sinryo/koujyou02.html

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血液検査の結果詳細

今回の結果は以下の通りでした。TSH, FT4, FT3, TPOAb(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体) の値は正常範囲内だけど、TgAb(抗サイログロブリン抗体)が基準値の 15 倍というとても高い数値がでてしまっていた。上のフローチャートに当てはめても、真ん中のフローチャートを降りて、橋本病にたどり着くことが再確認できました。

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先に書いたとおり、先生から結果を聞いたときには腫瘍(癌)宣告じゃなくて心底ほっとした。手からにじみ出てた嫌な汗も一気に引いたし、高ぶってた心拍数も一気に下がったのがわかった。

思わず出てしまった「癌じゃなくて本当に良かったです」の一言に対しては、「たとえ癌だとしても 6mm 程度なので手術以外の方法で十分治療できるし何てことはないよ」って言われちゃいました。いろんな症状を見てるからこその発言なのですが、「まぁ何てことはないって言ったら失礼か」って謝ってくれてましたが、実際、甲状腺がんの 10 年生存率は 90% を超えるらしいので、悪性だとしても転移していなければ大丈夫な癌とされてるようです。

とはいえ、怖いものには違いがない。

橋本病(慢性甲状腺炎)について

橋本病とは?

外科医橋本策博士が発見したことにちなんで橋本病と呼ばれる。慢性的に甲状腺に炎症が起きている病気であるため慢性甲状腺炎ともいわれる。炎症は細菌が入り込んで化膿するといったものではなく、自己免疫の異常が原因。真の原因ははっきりしておらず、ある種のリンパ球が甲状腺組織を攻撃するため慢性的な炎症を引き起こす。
また、橋本病はとくに女性に多く中高年の女性に多いのが特徴で、成人女性の約 3 〜 10 %を占めると言われている。男女比で言えば男性の 20 倍近くの発症率と言われている。

一般的な症状

一般的に進行は非常に緩徐であり障害機能が正常の場合もあるが、全体的に甲状腺が腫れる症状や甲状腺機能低下症といった症状が現れる場合がある。甲状腺の腫れは見た目でわかるが、甲状腺機能低下による血液中の甲状腺ホルモンの低下による症状は、うつ病などの精神疾患と間違われやすいことで知られている。

甲状腺機能低下による症状には以下のようなものがある。

  • 足やまぶたがむくむ
  • 記憶力の低下
  • 脈が弱くなる
  • 代謝の悪化により体重増加
  • やる気が出ない、疲れやすい
  • 食欲低下
  • 寒がり、冷え性になる
  • 皮膚が乾燥しカサカサする
  • 声がかすれる(嗄声)、声が低くなる
  • 月経異常

明らかな甲状腺機能低下症は約 10 %程度だが、何かしらの機能低下があるケースは約 30 %と言われているが、逆に言えば約 70 %の患者は甲状腺機能が正常に機能していることになる。

一般的な治療

甲状腺機能が正常の場合には治療の必要がない。甲状腺機能低下があれば甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の服用が必要となる。甲状腺ホルモン剤の副作用はほとんどないとされている。服用回数は1日1回で、多くの場合服用から 1 〜 2 か月で血液所見が正常になり自覚症状からも解放される。薬の服用の停止は経過観察次第となる。

また妊娠した場合は特別な配慮が必要となる。

今後の治療について

現時点での病名は橋本病(慢性甲状腺炎)。検査結果ではホルモンの値も正常値で甲状腺機能に異常がない状態なので、現時点では治療の必要もないとのこと。日常生活もほぼ今まで通り普通に送っていれば良いとのことです。唯一気をつけるとすればヨードの取り過ぎに注意するようにと言われましたが、具体例をあげるとするならば、毎日イソジンを使ったり、毎日昆布やわかめをドカ食いしなければ大丈夫という意味らしいので、ほぼ制限なしととらえて良いそうです。

ただ毎回人間ドックで指摘されるだろうし、経過観察は必要なので年に 1,2 回は血液検査とエコー検査は必要とのことです。

後半に続く

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