最高性能 DAC AK4497EQ を搭載したヘッドフォンアンプ GUSTARD A20H を購入してみた

やっぱり音楽番組とかいい音で聴きたいじゃないですか。いままで使ってた全録 REGZA DBR-M190 は当然のアナログ出力をプリメインアンプに繋いでテレビの音もいい音を楽しんできました。
昨年末辺りのことですが、ふと全録してある音楽番組をアンプ経由で聴こうと思ったら、半年前に買い替えた全録 DMR-BRX6000 が何故だかアンプに繋がっていない。忙しくて付け忘れてたのかな?といざ接続を試みるも、ななななんと、出力端子が HDMI と光デジタルしかないことに気が付きました。

以前使ってた CD プレーヤーには DAC 機能があったので光デジタル入力できたのですが、いつの間にやらデジタル入力できる DAC がない環境になってしまってました。オーディオオタクとして有るまじき状況。こりゃ環境を整備するしかない!と思い昨年末辺りからソワソワしてました。

購入する DAC を二ヶ月間ほど品定めする楽しい時間を過ごしつつ、確定申告的に年度が切り替わる年明けを首を長くして待ってました。

1月末あたりに満を持して届いたのが、その界隈では噂になっていた純中華製の GUSTARD A20H という D/A コンバータ。なかなか国内でレビューを見かけないので、なぜこの商品にしたのか、音質的にどうなのか、などレビューをしていきます。

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中華製の GUSTARD A20H を選んだ理由

昨今、本業が忙しくてブログ執筆をさぼってるもんですから、残念ながら収入はガタ落ち。そんなわけで投入できる費用も制限されるわけでして、予算的には概ね 10 万円程度が限界。できれば固定資産化しなくてもよい 10 万円未満がベストという前提から商品を選定することにしました。

当然ながら可能な限り良い音を求めたいので、ヨドバシとか行って DAC コーナーで試聴するわけなんだけど、ヘッドホンで短時間試聴しただけでは正直よくわからんというのが結論。本当は納得した商品を注文したかったのですが、正直何を買えばよいかよくわからない。ならば 10 万円未満を満たしてスペック的に最高のものに決めるという選び方をしてみるか、というのが今回の商品選定方法。

価格コムで「DSD対応 据え置き型ヘッドホンアンプ」を検索してみるとわかりますが、10 万円超えがざらです。そうするとですね、やはり中華 DAC のスペックが抜きんでてるわけです。具体的な話をすれば、スペック重視で選ぶと決めたので DAC チップももちろん高性能なほど良いという選び方になる。つまり AKM AK4497EQ か ESS ES9038PRO, ES9028PRO あたりを搭載していて欲しいという選択になるわけだが、国内 DAC で AK4497 を搭載しているのは例えば ESOTERIC Grandioso K1 というやつがあって価格は 200 万円と超弩級マシンで、とても手が出ない。

二ヶ月間の調査結果をまとめると、円相場にも左右されるけど 10 万円未満で入手可能かつ希望の DAC チップを搭載しているのは、GUSTARD 社の A20H と X20PRO の2つしか存在しません。まさに二者択一。ここで A20H と X20PRO のスペックを比較してみましょう。

A20H X20PRO
DACチップ AK4497EQ dual ES9028PRO dual
同軸デジタル入力
光デジタル入力
USB入力 XOMS U8,Support PCM384/DSD256
I2S入力 DSD64/128/256/512対応
ライン出力RCA
ライン出力XLR
筐体 フルアルミシャーシ
重量 6.5kg 不明
寸法 330 x 260 x 65mm 380 x 260 x 65mm
周波数特性 20 -- 20kHz +/-0.1dB 20 -- 20kHz +/-0.15dB
ヘッドフォンアンプ機能 バランス/シングル同時出力 なし

一番の違いはヘッドホンアンプ機能の有無。回路を経由すればするほど音質は原理的には劣化するので、ヘッドホンアンプ機能の有無が決めてで A20H に決めました。付け加えるならば OPPO HA2 が ES9018K2M なので AKM 系の DAC チップの音も楽しんでみたかったという理由もありました。

ちなみに周波数特性の計測グラフは shenzhenaudio のページで見ることができる(gustard a20h / gustard x20-pro)のでご参考までに。また、海外のブログなどを読んでいると、X20PRO の方が僅かに音が良いが A20H の方が音楽的に楽しい音がするとか、ヘッドホンアンプ機能が秀逸と書いてる人がいたりしました。

DAC の音を決めるのはチップだけじゃない話

オーディオ系の話では随所で言われてる既知の事実ではありますが、D/A コンバータの音は DAC チップが支配的に音質を決める要因にはなりません。その機器トータルの設計で音質が決まります。そのチップを使いこなす設計が各メーカーの技術者の腕の見せ所だったりしますし、コンデンサー類や物量も音質に大きく影響します。

つまり何が言いたいかというと、ハイエンドチップを搭載していたとしても必ずしも音質が最高に良いとは限らず、下位のチップを搭載した機器にも関わらず圧倒的に音質が上ってことも実際普通にあるってことです。

GUSTARD A20H の開封の儀

中国からの輸入です。FedEx で送られてきました。輸入については別途記事にしようと思ってるけどいろいろ大変だった。

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もっと雑な感じで梱包されて届くんだろうなーと思ってたら、意外にもしっかりとクッション材に囲まれてて好印象だけど、日本製の高級オーディオ買ったときのような強化ダンボールじゃなく普通の硬さのダンボールでした。

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じゃじゃーん。箱から出した GUSTARD A20H ・・・あれれ?なんか思ってたよりも随分と小さい。既存の 1U サイズのオーディオと横幅同じと思って買ったんだけどなぁ・・・。サイトをよくよく見直してみると、「寸法: 330 x 260 x 65mm(突起部分除く)、梱包寸法: 420 x 360 x 175mm」と書いてあって、梱包寸法を本体サイズと勝手に間違って認識してたことが判明。ってか梱包寸法必要か?紛らわしぃじゃねーか!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!

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付属品のリモコン。中身ちゃんと入ってるんかというくらい軽すぎる。高級感もないので速攻で押入れ行き。

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保証書代わりになるはずの GUSTARD カード。裏面に購入店舗名とか書かれるはずなんだけど空欄のまま。故障時にほんま使えるんかこれ?

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付属の電源ケーブルはこれ。ケーブルは細いし安いやつやん!って見た瞬間わかった。電源系で音が変わるのは最近認識したので、2,000 円くらいの電源ケーブルを Amazon で調達し直した。

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表面と裏面のインタフェース類。まぁスペック通りのインタフェースだ。日本の電圧は 100V だけど、この機器は本来 110V で駆動させるものなので昇圧すると音が良くなるらしいが、面倒なので 100V のまま運用。
ちなみに商品が届くまで不安だった色は、ヘアーライン仕立てのホワイトシルバーで良い感じ。商品説明画像ではもっとアルミアルミしてるギンギラな色に見えるけど、実物は全然落ち着いた色でホントよかった。海外のブログでそういった色で記事が上がってたので、そうだと信じて買った。

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中国からの商品は中身が本物かどうかは実際確かめてみないとわからないと聞いてたので、取り敢えず分解。一通り確認したところ、商品ページで見てたチップセットで構成されている模様。まずは一安心。ε-(´∀`*)ホッ

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ちなみにネジは特殊なネジなので Amazon で特殊ネジドライバーセットなどを購入しておくと、何かと重宝する。

トロイダルトランスを2つ搭載。トロイダルトランスとはドーナツ状のコアにぐるぐるとコイルを巻いたトランスで、重量が軽い割りに電流が沢山取れる効率の良いトランス。一応この手のトランスは高級アンプなどに多く採用されていて、磁束漏れは極端に少なく、落ち着いた音色になる傾向がある。一応雑に巻いた印象はないしそこそこのモノに見える。

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XMOS U8 USBプロフェッショナル・サウンド・カード。こいつのおかげで USB 経由で DSD256 までの入力に対応してくれている。2ch ではこのカードを入れると音質が極端に下るとの評価が下されてるけど、個人的には USB インタフェースは必須なので抜いた音を聞かなければいいかなと思ってる。

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今回 A20H を選んだ最大の理由でもある AKM AK4497EQ がデュアル搭載されていることをしっかりと確認。1つあたりの単価が 5,000 円は下らないらしいので原価率はそれなりのモノだと思う。

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商品説明ページでは NEC DSD64/128/256対応のセラミックコンデンサが使われてたけど、届いた商品は 富士通製のものだった。日本国産パーツなのは安心感がある。ちなみにパーツのスペック表はこちら。1000 個購入時の単価は 2$ なのでそれなりのモノのように見える。

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大型のコンデンサ類はニチコン製。パーツはそんなに詳しくないけど、ニチコン製なのでメジャーどころなパーツを使ってると思う。

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ロジック回路をプログラムするためのデバイス CPLD はアルテラ MAX2 EPM570 というやつ。初めて知ったけどインテル製らしい。スペック表はこちら

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筐体はフルアルミシャーシ。実際金属版の厚みもあり筐体もずっしり重厚感があり高級感がある。ここは期待以上の出来栄え。

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通電した状態のディスプレイパネル。結構見やすいのけど解像度は低い。ボタン類もシンプルなデザインで操作も単純なのでマニュアル無しでも一通り把握ができた。

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GUSTARD A20H の音質レビュー

結論を言っておくと GUSTARD A20H は確かに贅沢に AKM 最高峰の DAC チップとなる AK4497EQ をデュアルで搭載していますが、音質の観点からは一世代前の PCM1792A をデュアル搭載しているネットワークプレーヤー NP-S2000 に確実に負けてます。

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ライン出力性能の比較

オーディオ雑誌のような独特のレビューは僕には書けないので、NP-S2000 とじっくり二週間ほど聴き比べた感触としては、次のような印象を持ってます。一言で言えば A20H のラインアウトの音質は過度に期待するなって感じです。

  • 音の重厚感は圧倒的に NP-S2000 の勝ち。NP-S2000 を聞いた後に A20H に戻ると中低音が消えたんじゃないかと思うくらい音が弱々しく迫力に欠ける。
  • A20H の方が明らかに高音より。逆に言えば高音は綺麗に聞かせてくれる。
  • 音の分解能は A20H の方が明らかに上。AK4497 の能力を見せつけてくれた一面だと思っている
  • ボーカルは A20H の方が聞きやすい。逆にクラシックを聴くなら断然 NP-S2000 が上。
  • もっと艶っぽい音を期待してたけど A20H はすごく素直な音だった。

ヘッドホンアンプ性能の比較

お次は A20H のヘッドホンアンプとしての評価。こちらは一言で言えば素晴らしく良い。いい意味で期待を裏切られた感じです。A20H のヘッドホンアンプを通して聞いた場合と、ライン出力からプリメインアンプを通してアンプのヘッドホンジャックから聞いた音を比較してみました。

  • 3秒聞いただけで A20H のヘッドホンアンプの音のほうが圧倒的に良いことに気が付きます。まさにベールが二枚ほど剥がれた明瞭さがあります。
  • 音の立体感もなかなか良い。CD 音源からハイレゾ音源に変更すると更に違いが際立つ。
  • 音場の広さはやや狭く、脳内の中央に寄りがちなのが残念。

そのほか気になった点のまとめ

  • 底面のインシュレータはかなりショボいのが残念。
  • ボリュームは値段相応。素材はアルミと思われるが、あっさりと傷がついた。回し心地はちょっと軽い印象で高級オーディオの回し心地には遠い感じ。
  • AK4497EQ のフィルタが用意されているが、正直かなりじっくり聞いても差異がわからない。
  • I2S 接続が面倒くさくてインタフェースは HDMI にも関わらず規格は異なるので独自の変換ボードを買うなど変態的な接続をする必要がある。

NP-S2000 に負けてるとは言え価格帯が違う商品との比較はフェアじゃなかったと思う。しかも今回の比較では USB 接続した音質で評価を行いましたが、A20H には I2S 接続による音質向上が残されています。これはまたの楽しみに取っておこうと思ってます。

しかしながら 10 万円未満というレンジでは突出した性能であることは間違いないと思う。そういった意味ではかなりオススメです。

おしまい。

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